友人が渡してきた4,000円
数秘術を楽しんでいるうちに、いつの間にか人に会ったらとりあえず生年月日を尋ねるのが習慣となってしまっていました。
ある日、島で小さなオーガニックの食材屋さんをやっている友人に会いに行き、「生年月日を教えて!」と言うと、彼女は快く教えてくれました。
私はすぐに数秘を算出して、「やっぱりあなたは商売人に向いてるわね。お店を経営しているのもよくわかる!」と伝えました。
するとその友人は、ガサゴソと何かを取り出し始めました。
友人「はい、これで家族全員のを見てちょうだい!」
と、4,000円を私の目の前に差し出したのです。
私「えっ!?お金なんていいよ!ただの趣味だから!」
友人「いいから!紙に書いて持ってきてね」
彼女は半ば強引にお金を渡してきて、家族4人分の数秘鑑定を私に依頼したのでした。
(自信ない。お金をもらってまで鑑定するなんて。でもやらないと。)
そんな心境でした。
今考えてみると、彼女はまるで私の未来を見抜いた上であんな行動をしてきたかのようでした。実際、彼女はそんな能力を持った人でした。
私はその夜、紙いっぱいに友人家族一人一人の数秘鑑定を書き込みました。もちろん本の内容を相当引用しながら、です。
それを後日友人に手渡すと、「ありがとう!」と一言。その後家族で見せ合って共有したそうです。
それからさらに数日後のこと。
私は彼女のお店に呼び出されました。
友人「紹介したい人がいるの。」
その人は彼女の古い友人で、島で小さなパン屋さんを経営してるエネルギッシュな女性でした。
最初は三人で雑談をしていたのですが、そのうち、二人で私に
「今すぐに一万円もらって数秘のセッションを始めなさい!」
と言うのです。
私はひたすら抵抗しました。
私「そんなことできないよー。資格もないし独学だし。一万円ももらうことなんて考えられない。第一そんなことで生活ができるわけないじゃない。」
一体どうしたの?と言いたいくらいに、それでも二人は私を説得し続けるのでした。だんだんその強引さに嫌気がさしてきた私は、表情や態度にうんざりした様子を表してしまいました。
友人「こんなに言ってくれる人、そうそういないよ。」
その言葉にさえも素直になれずに、お店を後にしたのです。
(趣味で食べていけるほど世の中甘くないんだ。それに私はシングルマザーよ!どんな仕事でも必死にやって子供達を食べさせて行かなくちゃ。彼女たちにはそれがわかっていないのよ!)
そんな気持ちだけが頭を駆け巡りました。
その時、私は島で二度目の結婚をし、三人目の子となる女の子を出産し、また離婚してシングルマザーとなっていました。
友人たちは、そんな私に数秘鑑定士として生活することを強く勧めてくれたのでした。
野外イベントで有料数秘鑑定に初挑戦

私はしばらくの間、あの友人から距離をおくようにしていました。彼女のことが嫌いになったわけではありません。また説得されたら、と思うと、なるべくその機会を作り出さないようにしたかったのです。
当然、お店に顔も出さないようにしていました。
そんなある日の夜、友人からのメール。
友人「今度、野外でイベントやるんだけど、数秘で出店してみない?」
私「えっ!!無理だよ〜!」
友人「いいから出てみない?500円で数秘鑑定とかいいんじゃない?ブース取っておくから。」
ここまで誘ってくれる友人に、私の数秘鑑定をとても信頼してくれているという気持ちが伝わり、そんな彼女を避けようとしている自分が恥ずかしくなり、本当にありがたい気持ちになりました。
私「そうだね。ワンコイン鑑定なら挑戦してみようかな!」
これが初めての数秘鑑定の始まりです。
実際、ドキドキしました。ずっと緊張していました。
マジックペンで手書きした「数秘術鑑定 500円」の画用紙を看板に、ジッと座ってお客さんを待ちます。
(なるべくお客さんがきませんように!)
そんな弱気なことを思いながら座っていました。
最初に目の前に座ったお客さんを今でも忘れることはありません。
生年月日から算出した4つの数字を必死に読み解きながらお伝えしました。
お客さん「すごく良かったわ〜!」
自分では緊張でガチガチ、顔が引きつらないようにと必死で、一体何を伝えたのやら記憶がない程でした。
そんな初めての鑑定を喜んでくださり、お金を差し出してくださっている。そんなお客様の笑顔が嬉しくて、嬉しくて、一歩自信が持てた瞬間でした。
帰宅するとすぐに今日の鑑定の振り返りをしました。
本を片手に、数秘の読み足りない部分は無かったか?伝えたことは間違えてなかったか?の復習です。
これまで以上に数秘に真剣に向かい合う自分がそこにいました。
「もっとたくさんの人々のために鑑定がしたい!!」
そう思うようになりました。
お金がもらえたから、ではありません。(もちろんそれも嬉しかったのですが。)
数秘鑑定を通じて笑顔になってくださるお客さんに、たくさん出会いたかったのです。
私に諦めずに数秘術師の道を勧めてくれて、さらにその機会まで与えてくれた友人に心から感謝しています。
彼女は私の恩人です。(2011年に、星に帰って行きました。)