ヘブライ文字による氏名の数秘鑑定
氏名を数秘で読み解く2つの方法〈その1:ローマ字編〉では、最もポピュラーでスタンダードな方法としてピュタゴリアン変換を用いた氏名の数秘鑑定について紹介させていただきました。
この章ではもう1つの方法として、ヘブライ文字を使った氏名の数秘鑑定についてみていきたいと思います。
文字を数字に変換する方法の基礎知識
まずは、文字を数字に変換する方法についての基礎知識について少しだけふれたいと思います。
- ピュタゴリアン変換
- ゲマトリア
文字を数字に変換する方法としてはこの2つが広く知られています。
ピュタゴリアン変換(紀元前6世紀)
前章でも使用したピュタゴリアン変換は古代ギリシアの哲学者ピタゴラスがバビロニアの神官から伝承した文字を数に変換する方法に独自のアレンジを加えたたという記録があります。
近代では1900年代初頭に始まったモダン・ヌメロロジー式の氏名鑑定をはじめ広く今日でも使用されています。
ゲマトリア(紀元前8世紀?)
旧約聖書の暗号解読法としてカバラに伝わる伝承。数を文字(意味)に変換し旧約聖書の記述に隠された別の意味を読み解くことが本義。
歴史についてここで詳しくはふれませんが、伝承の経路からみてルーツは同じかと思われます。
しかし、ピュタゴリアン変換はローマ字(アルファベット)、ゲマトリアはヘブライ語(アレフベート)を対象にしており、それぞれ文字の数が違います。(アルファベット26字、アレフベート22文字)
アレフベートには全ての文字に違う数が割り振られていますが、アルファベットは1つの数を2つ以上の文字に割り振っています。(上の一覧)
文字から数への変換はその読み(音)をベースにそのロジックが立てられているといいますので異なる文字に同じ数が割り振られているのには違和感を感じます。(ルーツが同じだとするならなおさらです)
実は今日に伝わる文字/数の変換法のルーツは旧約聖書の発祥よりもさらに古いと考えられていますが、全ての文字に別々の数がきちんと収まっており発祥がピュタゴリアン変換より200年以上古いゲマトリアが、よりその原型に近いと考える方が自然なようです。
先述のようにピュタゴリアン変換はその出自や変換の工程を考えるとどうしてもその有効性に疑問を持ってしまいますが、正確な記録のある時代から数えて100年余りの検証期間を経て、現在も使用されていることからその有効性が認められるのではないか。という前提でこの記事を書いています。
日本語氏名のヘブライ語表記
まず、日本語の氏名をヘブライ文字で表記します。
日本人にはほとんど馴染みのないヘブライ語(文字)。日頃馴染んでいるローマ字への変換よりもハードルが高そうですが実は、ヘブライ語と日本語には単語の意味などにおいて共通点が多く、平仮名のルーツはヘブライ文字であるとする研究も実際に存在しています。
それでは、下の対応表を使って実際に変換してみたいと思います。
※参考にした50音表では、タ行の解釈が2種類ありました。このページの一覧表では、参考にした3つの変換表のうち、2つで採用されていた(tet テット)をタ行の子音とする表記を採用しています。また、個人的には400を数価とする (tav タヴ)ではなく9を数価とする(tet テット)が妥当と思えます。

※表に記載の秘数は合計値です。
試しに、私の名前を平仮名からヘブライ文字へ変換してみます。
い わ き こ う じ
זִי אוּ קוֹ קִי ו אִי
このようになりました。
ローマ字では母音字単体もしくは、子音字 + 母音字で音を記号として表現していますが、ヘブライ文字もそこは似ています。小記号を使って音のニュアンスを表現しているところも共通しています。
先述のとおり、ヘブライ文字のアルファベットであるアレフベート(基本字母)は 22字で、それぞれに数価を持っています。次はこれをもとに、ヘブライ文字から数への変換を行いたいと思いますが、変換にあたり注意点がいくつかあります。
子音字と母音字は分けて、それぞれ1文字としてカウントします。
ヘブライ文字独特の発音/文字区別記号を「ニクード」といいますがこのニクードは1文字としてカウントしません。(現代では教科書などでのみ使われるそうです)

黒字 = 母音(及び、ワなどの半母音)
青字 = 子音
赤字 = ニクード
これを踏まえた上で、文字を分解すると
י = 10
1 = א
6 = ו
י = 10
100 = ק
6 = ו
100 = ק
6 = ו
1 = א
י = 10
7 = ז
と、なりますので今度は文字の持つ数価を一桁になるまで足し合わせ、秘数を求めます。
〈計算式〉
10 + 1 + 6 + 10 + 100 + 6 + 100 + 6 + 1 + 10 + 7 = 257
2 + 5 + 7 = 14
1 + 4 = 5
となり、名前の数秘は「5」となります。
対応表に記載の数価をもとに計算すると、
い11 + わ6 + き110 + こ106 + う7 + じ17 = 257
2 + 5 + 7 = 14
1 + 4 = 5
となります。(もちろん秘数は同じ)
※ 上記は現代のヘブライ語による変換です。古代ヘブライ語では発音に若干の違いがあるそうです。
※ 小さい「つ」は省略します。
氏名の数秘鑑定方法まとめ
① 氏名をローマ字で表記する
ピュタゴリアン変換で文字の数価を求める
もしくは、
氏名をヘブライ文字で表記する。
使用したヘブライ文字の数価を求める
② 数価を1桁になるまで足し合わせる(秘数を求める)
③ 秘数を鑑定する
旧姓について
結婚や縁組で氏が変わっている場合については鑑定する事柄が現在であれば、現在名乗っている氏。過去のいつかであるなら、その時名乗っていた氏が妥当でしょう。
私たちが氏名を鑑定に使わない理由
誕生日は、一部の稀な例外を除けば疑いの余地のない唯一無二の情報(暦の違いは考慮しています)であるのに対し、氏名(名前)は言語ごとの表記の統一を図るのが難しく、また変えることのできるものです。(変えられるところがよいという方もいらっしゃると思います)
少し極端な解釈かもしれませんが「氏名」は後付けの要素でありその性質はやはり誕生日に支配されているのではないか?と私たちは考えています。
誕生日が身体とするなら氏名は衣服のようなもので、その人の本質ではなく、あくまでも外的な要素と割り切っています。
私たちの鑑定はその人の「揺るぎない本質」をお伝えすることを本義としていますので、可変で多様な性質を持つ「氏名」は鑑定の対象に用いないというわけです。
日本人の氏名を鑑定するのであれば、変換せずとも漢字とカナからそのまま鑑定することのできる姓名判断が適切なのではないでしょうか?
補 足
全体の風潮として数秘の鑑定法は複雑化の道を辿っているように思います。これが進歩なのか退化なのかはわかりませんが、何れにしても数秘鑑定の基本は秘数をどのように解釈するかなので、様々な秘数の組み合わせで様々な読み方が可能です。これまでにない鑑定法はその根拠を明確にし、検証を重ねることで実用することができると考えます。
おわりに
いかがでしたでしょうか?このページでは、氏名の数秘鑑定について一般的なピュタゴリアン変換ではなくヘブライ文字の数価で氏名を数秘鑑定する方法を模索してみました。
日本語氏名をカナからヘブライ文字に変換する際も子音と母音の組み合わせで表現することには変わりなく、いくつかのバリエーションがありますので統一が難しいのはローマ字変換と同じです。
カバラ数秘術とピタゴラス数秘学の文字に対する数価の当て方の違いについては疑問が残ります。歴史的考察から、かのピタゴラスも古代の旧約聖書の研究家も同一のルーツから数~文字(意味)への変換法を学んだと考えられますが、それぞれが異なる言語を使っていたために相違が生じているのだと思われます。どちらが正しいということはないのかもしれません。
このページの方法(ヘブライ文字変換からの氏名の秘数算出)はピュタゴリアン変換に違和感を感じる方の別の選択肢として役立ていただければと思います。
(私は「C」「E」「I」「O」「U」など、対応するヘブライ文字が存在しない文字の数価や、発音が全く異なる文字に同じ数価が割り当てられていることにちょっと違和感)
プロの数秘鑑定師であれば鑑定の元となる情報の正確さは絶対に必要ですので安易な実用はおすすめできませんが、学問は楽しんでなんぼ!とも思いますので色々試して楽しみながら検証してみてくださいね。